「交渉事には,誠意というものが必要だ。今回のケースでは双方にそれが欠如していた。ネゴシエーションとは,プロとプロが交わすべきもの」。(who: roger smith, THE BIG-O)
マックワールドエキスポをめぐって,アップル社と主催者のIDG・ワールド・エキスポ社の対決姿勢があらわになった。2004年夏の東海岸の開催をニューヨークからボストンに変更したことをIDGが発表し,アップルはそれに不参加を表明した。アップルの不参加は,直営小売店の方の効果を重視し,マック関連の出版物にほとんど広告を出さないなど既存顧客へのマーケティングを少なくしていることと同じ理由からだ。だが,アップル参加しないマックワールド・エキスポなどクリープを入れないコーヒーみたいなものだ。
泥沼のような状況が手に取るようにわかる。互いの札を1枚も譲ることを許さず,最悪の結果となったと云ってもいい。もし幕張でのマックワールドエキスポ/東京にアップルのブースがなかったらどうだろう? 毎回たいした発表をすることがないとは云え,スティーブ・ジョブズが来なかったらどうだろう? 注目度,来場者数,参加出展者数,そして,意味,そのすべてが激減する。
日本のマックの雑誌にアップルが広告を出しているかどうか知らないが,既存顧客よりも新規顧客に精を出す気持ちは正しい。今アップルが行うべきは,確かにそれだ。そして,エキスポに注目するのは既存顧客がほとんど。価値は少ない。だが,ひとつの交渉事として,お互いがすべてを失って終わることなど,最低の結末でしかなく,どんな事情であれ,プロが行うべきものではない。おちたものだ。
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